比較・検討を終わらせる「理想世界」の作り方

どうも!ブランドクリエイターの中江です。

前回は、AI時代が到来するにあたって、理想世界へ共鳴させることの重要性についてお伝えしました。

これからの時代

  • 機能的価値の追求
  • 効率・効果の追求
  • 合理性の追求
  • 利益の追求

だけをやっているビジネスは詰んでいます。

というのも、「比較・検討」のベクトル上での勝負になってしまうからです。

例えば、

3ヶ月通うだけで、10キロ体重が落ちます!

もし体重が落ちなかったら、全額返金します!

ということをウリにしているパーソナルトレーニングジムがあったとします。

もちろん、この文言を見て、

ここのジムに通ってみたい!

という人はいるでしょう。

ですが、「2ヶ月通うだけで、10キロ体重が落ちます!」というジムが近所に出てきた瞬間にお客さんは来なくなります。

そこで勝負すると、争いに巻き込まれるんですね。

今までは、そのライバルが人間だけでしたが、AIも登場します。

AIはこの手の勝負が大得意です。

人工知能

人件費がかかってないので、コストも極限に抑えられますし、効果・効率の追求力も人間は足元にも及ばないでしょう。

極論ですが、体重を落とすだけなら、5日で10キロ落とすことも可能になるかもしれません。

だから、このベクトルでの勝負はしない方が良いのです。

目指すべきなのは、競争がない世界です。

理想世界へ共鳴させることさえできれば、比較・検討などの競争の世界から脱却することができます。

前回は「開運カット」という理想世界を紹介しましたが、

あの理想世界が生まれたのは、

  • 容姿が原因で小学校でいじめられた
  • 転校前に素晴らしい美容師に出会った
  • その後の学校生活が激変した

というその人のストーリーがあったからです。

理想世界は、その人のストーリーから生まれます。

その人生のストーリーはAIでもコピーできません。

だからこそ、唯一無二の価値を持つのです。

では、理想世界はどう作ればいいのか?

理想世界というのは、一言で言うなら、お客さんを導きたい理想の未来のことです。

これは、単にお金の為だけにビジネスをやっていなければ、誰でも必ずあると思います。

例えば、僕の場合で言えば、

志に目覚め、世のため・人のために尽くし、繁栄し、本物の輝きを放つ、ブランドという存在になってもらいたい

という想いがあります。

僕自身のサービスとしては、デザインやコンサルティングなど様々ありますが、全ては、そういうブランドという存在が世の中に溢れるようにするためにやっています。

理想世界を考える時のポイントは、

  • 誰に
  • どうなってもらいたいのか

の2点です。

この2点をまずは、言語化するようにしましょう。

まず、「誰に」について。

一口にお客さんと言っても、様々な人がいると思います。

これからの時代のビジネスのポイントは、理想世界への共鳴を起こしていくことと言いましたが、そのためには「どんな人に」共鳴して欲しいのかをあえて明確にする必要があります。

ターゲットがぼんやりしていれば、相手との共鳴は起きません。

僕の場合であれば、

  • 世のため・人のためという想いを持っている
  • 人の役に立ったり、幸せにする商品・サービスを持っているけど、広め方がわからない

と決めています。

そうやって、ターゲットを絞り込むことで、「私のことだ」と思ってもらうことができます。

まずは、改めて「どんな人に」お客さんになってもらいたいのか、大切にしたいのかを考えるようにしましょう。

これはどのポイントにも共通して言えるのですが、全ては、自分のストーリーに基づいている必要があります。

これまで自分は、こういう経験をしてきたからこそ、こういう人を大切にしたいと思っている

という感じですね。

理想世界を作る際に問われるのは、必然性です。

なぜ、その理想世界をあなたが掲げるのか?

そこに必然性がなければ、人から共感してもらうことができません。

そして、必然性を作るのが、自分のストーリーなのです。

これまでの自分の人生のストーリーを振り返り、

  • どんなお客さんがいたのか
  • その中でも、どんな人に特に喜びを感じたのか

などを振り返り、言語化していきましょう。

こういう時は、逆を考えるとアイディアを出しやすいですね。

こんな人はお客さんにしたくない

という感じですね。

僕の場合だったら、

  • お金儲けだけを考えている
  • 世のため、人のためという想いがない
  • 理念を体現しようとしない

などですね。

逆を考えることで、自分が向かいたい方向性がクッキリと浮かび上がります。

そして、二つ目に「どうなってもらいたいのか」ですね。

じゃあ、その人たちにどうなってもらうのが、理想なのかということですね。

それを次に考えていきましょう。

僕の場合であれば「ブランドになること」です。

この理想の未来を考える際には、色んな角度から、自分の仕事を深掘りしていくことが重要です。

改めて、自分の仕事の本質・役割とは何かを考えていく方法も有効です。

例えば、「デザインとは何か?」「デザインにはどういう役割があるのか?」を考えていくということですね。

この問いに対する答えに、正解はないです。

僕の場合は、

デザインの役割というのは、その人・企業・商品の本質(本当の価値)を、世の中に伝わる形で、伝えていくこと

だと思っています。

デザインとは、ただ、見た目的にキレイなものをなんとなく作ればいいというわけではなく、それぞれにとっての本質を捉え、それを伝わる形で表現していくことこそが、重要というわけですね。

じゃあ、次に、

  • どんな人・企業・商品が世の中に広まっていけばいいのか?
  • デザインを提供する人たちが、どういう状態になれば理想と言えるのか?

などさらに深掘りして、考えていきます。

キーワードをどんどん出していくのもありですね。

そして、例えば、その際に「ブランド」というキーワードが出てきたのであれば、その言葉の定義を改めて考えるのもアリです。

「ブランドとは何か」という言葉の再定義をすることですね。

こうやって深掘りしていけばいくほど、ユニークな理想世界ができていきます。

また、仮想敵を考えてみるのも良いですね。

僕が仮想敵として、見立てたのは、

  • 見た目だけをキレイにするデザイン
  • 目的を考えないデザイン
  • 理念のないものを広めるデザイン

です。

この時点で、表現はチープで良いです。

まずは

  • 誰に
  • どうなってもらいたいのか

ということを、自分のストーリーに基づき、書き出してみましょう。

この時点では、長くても問題ありません。

ここから表現として、美しくするので。

表現形式として、一番美しいのは、

  • キャッチコピー
  • サブコピー

に分ける方法ですね。

例えば、近畿大学の理念はこうです。


画像出典:https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/kindai-univ

“固定概念をぶっ壊す”

「不可能を可能にするのが、研究だ」

1970年、近大はその言葉を信念に、
不可能と言われたマグロの完全養殖に挑んだ。

時には笑われ、バカにされ…

それでも、諦めなかった。

費やした年月は30年以上。

そして、やり遂げた。

そんな近代がいま、「大学の序列」に挑んでいる。

笑うやつも、バカにするやつも、いるかもしれない。

しかし我々は、不倒の精神で、やり遂げる。

古くさい固定概念をぶっ壊す。

不可能を可能にするのが近大だから。

この場合のキャッチコピーは

固定概念をぶっ壊す

です。

要は、理想世界を一言で言うと、何になるのかと言う部分ですね。(理想世界を一言で表現したものが、コンセプトです)

そして、サブコピーは、その下に続く説明文のことです。

これは、キャッチコピーを補足説明する文章です。

「固定概念をぶっ壊す」とは、どういうことなのかが書かれています。

表現として、重要なのは、キャッチコピーの部分です。

ここが切れ味の良い言葉で、表現されていると非常に良いですね。

作り方としては、まず、ぼんやりとでも「こういうことを言いたいなあ」という文章をとにかく出してみます。

表現としてまとまってなくても良いです。

例えば、今回の近畿大学の場合でいうと、受験業界の中では偏差値によって、大学のグループ分けがされていたという現状があります。

関西の私立大学でいうと、トップグループは「関・関・同・立」の関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学。

そして次のグループが「産・近・甲・龍」の京都産業大学、近畿大学、甲南大学、龍谷大学。

この序列は、大学受験において、不動で、ただそれだけを見て、受験生も志望校を選ぶという現状がありました。

だから、志望者数でいっても「関・関・同・立」が人気で、次に続くのが「産・近・甲・龍」です。

この現状に、なんとか一石を投じたいとのことで、作られたのがこのキャッチコピーです。

なので、まずは、こういう風に、状況を整理し、長い文章でも良いので、方向性を決めます。

そして、それができれば、より切れ味の言葉にしていくというイメージですね。

その際に、「キーワードを出し尽くす」というのはオススメです。

とにかくパッと思いついたキーワードをとにかく書き出していくんです。

できれば、一人でやるよりも複数人でやる方がいいですね。

3~5人も集まれば、1時間で相当なアイディアが出ます。

その言葉を組み合わせたり、引いたりしながら、切れ味の良い言葉を作り上げていってください。

では、今回は以上になります!

次回は、この作り上げた理想世界にどうやって、共鳴してもらえばいいのかということについてお話していきたいと思います。

では、今回は以上になります。

お疲れ様でした!